ダウンスイングで自然落下という言葉をコーチが使う意図は?

ダウンスイングで、クラブを自然落下させろとか、手元を自然落下させろ、という指導があります。

「自然落下」という言葉を使う、コーチの意図とはなんでしょう。

自然落下させようと意識している時点で「自然」じゃない

トップでの切り返しでクラブを自然落下させましょうという定番の教えがあります。

しかし、「自然落下」を意識して行おうとしている時点で、それはもう「不自然」な動きと体はとらえているわけです。

自然落下を出来ていない人にとっては、それは不自然な動きなわけですから、無意識にこの動きをするようになるためには、毎日練習しておよそ1ヶ月かかるでしょう。

これは、脳科学の分野になります。

しかし、間違った動きを無意識にできるまで、毎日1ヶ月も練習して潜在意識まで刷り込ませては大変なことになります。

間違った指導を受けると取り返しのつかないことになりますから気をつけなければいけません。

なぜダウンスイングで「自然落下」という言葉を使うのか?

意識してやらばければならない動きなのに「自然」に落とさなければならない。

日本語は素晴らしいですね。

「自然落下」という言葉には、なんとなく、

「チカラを抜いて」「脱力」

みたいなニュアンスを日本人は感じると思います。

「切り返しで、腕の力を使うなよ」というイメージを伝えるのに、

「自然落下」は、コーチにとっては使い勝手のいい言葉なのだと思います。

なぜ、自然落下させなければいけないのか?

では、なぜ自然落下が必要なのでしょうか?

あなたはすでに知っていることばかりだと思いますが、主な理由を挙げていきましょう。

ダウンスイングで早めにオンプレーンに乗せるため

オンプレーンとは、

大まかには、クラブのライ角度が作る面。

または、

ダウンスイングで右ヒジが脇腹についた位置からボールの左右に引いたラインに向かって伸ばした面。

てなところだと思いますが、

バックスイングではハーフウェイバックでシャフトが水平になる頃からトップオブスイングにかけて、クラブの軌道は、そのプレーンから離れていきます。

なぜ、わざわざプレーンからクラブを離さなくてはならないのか?

私にはわかりません。

腕が肩に付いているから、トップでは肩の上あたりにグリップがくるのでしょう。

なぜ、プレーンを外れて上の方にクラブを上げていくのかは、他の考えもあります。

薪割りは縦と横、どちらが力が伝わる?

大きなマサカリで薪を割るところを想像してみましょう。

マサカリを上に上げてドスンと薪を割るほうが、ダルマ落としのように、横からマサカリを横振りするより、力が伝わるはずです。

縦に振り下ろしたほうが、地球の引力が後押ししてくれるからです。

よって、プレーンを外してでも、クラブを高い位置に上げていったほうが、スイングスピードが出る。

という考え方もあります。

手元を落下させないとアウトサイドインの軌道になってしまう。

切り返しで、無意識に手元を自然落下出来ていれば、意識してやる必要はありません。

しかし、自然落下が出来ていない人は、ダウンスイングの始動で、手元が高い位置にあるうちに、両肩を正面に向けてしまいます。

そうなると、手元を後ろに残しておくことが出来ません。

どうしても、クラブが外側から入ってきてしまいます。

切り返しで、肩が正面を向いて、手元が高い状態で、無理矢理インサイドから打とうとすると、ハンドアップした、従来のクラブのライ角度とは違ったインパクトになってしまいます。

そんな形では、こすった球筋にしかなりません。

この癖を治すために、コーチは自然落下を強調します。

胸がまだ正面を向く前に腕を自然落下させなさいと。

自然落下でタメを作る

切り返しで、肩の上から背中側にクラブを自然落下させると、プレーンに乗せやすくなると同時に、「タメ」も作られます。

バックスイングでセットした手首のコッキングをダウンスイングで解くことなくパワーの源として活用できるのです。

倉本昌弘プロなどは、トップではシャフトが立っていますが、ダウンスイングで手元を降ろすことで、強烈なタメを作っています。ダウンスイング中にコッキングしているようなものです。

アマチュアには難しいかもしれません。

タメを作るために自然落下させろと教えているコーチはいませんが、腕の力を抜くことは、結果的に「ヘッドを早く投げてしまう」ことを遅らせることから、自然にタメを作ります。

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アドレスとトップのグリップの前後の移動幅は意外に狭い

アドレスでのグリップエンドの位置と、トップオブスイングでのグリップエンドの位置は、前後の距離だけで見てみると、案外狭いものです。

従って、切り返しで少しでも両肩が早く回ってしまうと、すぐにグリップエンドが体の前に来てしまいます。

グリップがまだ高い位置にあるのに、前後関係でいえば、アドレス時のグリップエンドの位置に近くなってしまいます。

手元がまだ高く、グリップエンドが前にある状況から、強烈にその手元を落下させても間に合いません。

ハンドアップしたヘンテコなスイング軌道になってしまいます。

クラブヘッドは大きく動いていても、グリップエンドはトップから、真下に近い感覚で移動しています。

この動きをなんとかして、分かりやすく教えようとして使う言葉が、「自然落下」ということになります。

ドローを打つなら、必ず身につけなければならない

ドローボールやフックボールを打つにはボールをターゲットラインの右に打ち出すことになります。

ボールをやや右に打ち出すには、ベーシックなスイングプレーンの、やや下をクラブヘッドが通って下りてくる必要があります。

これを可能にするには、やはり腕の自然落下を体に染み込ませる必要があります。

まとめ

自然落下は、あくまでそれが出来ていない人への「感じ方」を知ってもらうための言葉なのだと思います。

切り返しの動きが綺麗に出来ているならなにも意識して練習する必要はないでしょう。

しかし、出来ない人はいつまでたっても出来ません。

潜在意識のなかに自分のスイングに対するイメージとリズム感があるのですから。

しっかりとした教えを受けるか、それでなければ、自分でスイングを撮影するなどして、プロと比較してみましょう。

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